はるまきパタパタ

料理とDIYについて色々書きます。

低温調理用のコントローラを作る3

概要

 低温調理用のコントローラ回路・基板を設計して、発注します。

 

設計

 まずは回路を設計します。私は回路設計にeagleを使用しています。ちょこっとした基板ならFree版で十分ですし、色々なサイトで使用例が出ているので、困ったときには調べられるので、おすすめです。

 

ライブラリの準備

 まずは基本的な部品はライブラリに登録されていますが、今回使う部品でないものだけを追加します。今回は、LCDがなかったので実物と添付資料をもとにライブラリを作成します。

 

回路図の作成

 ATMEGA328を中心に、周辺の回路を書き込みます。今回は下記の機能を使います。

  • INT0割り込み(ロータリーエンコーダ)
  • PCINT割り込み(タクトスイッチ)
  • Timer1 PWM出力(ヒーター制御)
  • Timer2 非同期タイマ(RTC)
  • ISP
  • I2C(LCD制御)
  • USART(デバッグ用)

 I2Cなどの機能ポートは使用するピンを変更できないので、機能ピンを優先して配置して、その他の配線をしていきます。真面目に線を引くと、ごちゃごちゃしてわからなくなってしまうので、配線に名前をつけたり、ラベルを振ったりして読みやすい回路図にします。

 

回路の確認

 回路が出来上がったら、ブレットボードで動作確認をします。これ以降の工程では、ミスを検出しづらいので、ここで確実につぶしておくことが重要です。

 

基板のレイアウト

レイアウト・配線

 回路図が出来上がったら、ボードエディタに切り替えて、基板の上に部品を配置していきます。

 

レイアウトの確認

 ある程度レイアウトと配線が完了したら、高さのある部品やコネクタなどが干渉しないかを確認します。

 おすすめはプリントアウトして実際の部品をはめ込む方法。、画面で確認するより早いですし、バランスを確認しやすいです。

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発注

Elecrowへ発注しよう

  最近は、基板の発注がかなり安い。今回はElecrowのPCBサービスを使います。送料は別ですが、5×5cm10枚で9.5ドルです。品質や納期の評判もそこそこ良いです。

www.elecrow.com

 

日本語に対応しているようですが、翻訳が少し怪しいです。ショップには、その他電子工作関連のパーツなどがいっぱいあるので、PCBサービス以外にも、目を通すと欲しいものが見つかるかもしれません。100ドル以上買うと送料無料になるようですが、PCBサービスについては送料無料の恩恵が受けられないみたいです。

 

デザインルールの確認

 まずは、レイアウトした基板がElecrowで製造できるルールにしたがっているかを確認します。Elecrowの商品詳細画面から、デザインルールファイルを取得できます。

 パッドにシルクがかぶっているとStop Maskの警告がたくさん出ますが、これは無視しても問題なさそうです。

 

ガーバーファイルの生成

 同じくElecrowの商品詳細画面から、今度はCAM Fileを取得してきます。取得したCAM Fileを使って、ガーバーデータを生成します。

 下記の8ファイルが必要なので、これをzipで固めておきます。

Top layer:pcbname.GTL

Bottom layer:pcbname.GBL

Solder Stop Mask top:pcbname.GTS

Solder Stop Mask Bottom:pcbname.GBS

Silk Top:pcbname.GTO

Silk Bottom:pcbname.GBO

NC Drill:pcbname.TXT

Mechanical layer :pcbname.GML

 

発注

…と思ったら、春節のお休みなので、休みが明け次第発注します。

低温調理用のコントローラを作る2

概要

 今回は低温調理器を作るにあたって、主要な部品の選定について話します。

 

ちなみに

 コントローラなんて作らなくてもいいよ、ただ使いたいんだよ!って方は、既製品を購入してもらったほうが早いです。ものによってはヒータ以外セットになってますし、それなりに安いです。

 

必要なもの

 低温調理器は、制御の入門書などでよく見る、水槽の温度制御そのものです。制御対象は水温なので、制御対象の状態を知るために温度計が必要です。水温の操作は、上げるためにヒーターが必要です。下げるためにはクーラーが必要ですが、目標値は室温よりも高いため、クーラは必要ないでしょう。あとはヒーターのON/OFFを行うリレーと、制御用のCPUを選定します。

 

温度計

 熱電対やアナログ出力の温度センサは、基準電圧の生成・管理が面倒なので、デジタル出力の温度センサを使うことにします。さらに、水につけるため防水加工が必要です。

 

 デジタル出力のセンサにはいくつか候補がありますが、パッケージ化+防水加工されているものがAmazonで売られているので、DS18B20というセンサをつかいます。複数のところから同じような製品が出ているので、DS18B20を使ったものであればどれでもいいと思います。秋月電子で、センサ単体が250円ということを考えると、自分で単品を買ってきて防水加工する必要はないでしょう。約300円也。

 

ヒーター

 試算したところ、温度の維持だけであれば100Wもあれば十分な感じです。やはり防水でなければならないので、まずは調理用の湯沸かし器を探しました。

 Amazonで見つけた投げ込み式の湯沸かし器ですが、ワット数が高すぎるのと、熱源剥き出し、更に電源が海外仕様なので、ちょっと怪しい感じ。

 

 他に良さそうなものがないので、代替案とりあえず水槽用のヒーターを使います。サーモスタット必要なタイプのヒーターを選んでください。オートヒーターではだめです。熱源が露出していないヒーターを使うことにします。約1,900也。

当然本来の用途と違う上、これを使う以上はAC100Vを扱うことになるので、取扱時にはそれなりに注意が必要です。場合によっては、他の加熱方法を考えます。

 

リレー

 ヒステリシス制御であればリレーで良いですが、PID制御の実装を考えているので、PWM制御のしやすいSSRを使います。 Amazonに完成済みのモジュールが安く売られていますが、レビューに怪しいコメントがあるのを見つけてしまったので、中が見えて安心なものを使います、今回は秋月のキットを使います。250円也。

ソリッド・ステート・リレー(SSR)キット 25A(20A)タイプ

  放熱をしなくても2A程度まで使用できるので100Wのヒーターなら十分でしょう。

 

制御用のCPU

 ArduinoやmbedやRaspberry pi等のプラットフォームをつかうと実装が楽なのですが、そこそこのお値段がするので、水没・水ぬれする危険がある制御に使うのは気が引けます。なのでマイコンをそのまま使います。

 入手しやすいのはPICとAVRですが、ライターの調達難易度からAVRを使います。PWMが使えて、そこそこGPIO数がある品を選びます。250円也。

AVRマイコン ATMEGA328P-PU

 制御プログラムを書いてみて、十分か判断しますがよっぽど大丈夫でしょう。

 

その他

 調理するたびにPCなんて出したくないので、制御基板一枚で低温調理が完結してほしい。そのため、UIとして、以下の部品を使います。

  • キャラクタLCD(I2C接続のもの)約500円
  • ロータリーエンコーダ 80円
  • タクトスイッチ 10円×2
  • LED 3つ

これらと、抵抗などの必要な部品は手元にあったものを使います。諸々の部品含めると、コントローラだけで2000円ぐらいで仕上がるかと思います。

 

次回は、基板の設計と検証までをまとめます。

流行りの低温調理用のコントローラを作る1

概要

 低温調理器が高かったので、そこそこ良いコントローラを自作します。

 

低温調理とは

 要は従来よりも低い温度でする調理のことです。わたしは低温調理というとあまりピンときません。真空調理法とか適温調理とか、恒温調理とか言ったほうが実態に合っている気がします。こんなの↓が安定して作れます。

肉!

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なければ作る

 低温調理法自体は前々から知ってはいましたが、Twitterやマンガなど、随所で聞くようになったので、じゃあやってみようと。

 で、クリスマスに先に挙げた定番のローストビーフを作ったのですが、まあめんどくさい。

 それ専用の製品(Anovaとか)を使えばいいのですが、それなりにお値段が張るので、ならば自分で作ってしまおうというだけの話。

 

作戦

 最近は、プリント基板が2000円ちょっとで作れますので、専用の基板を起こします。プリント基板を作ると10枚とか20枚の単位でのオーダになるので、せっかくなら他の人に使ってもらいたい。そこで、調理器を以下のような感じで作ろうと思います。

 

なるべく安く

 高いのが正義ではないです。最安である必要はないけど、それなりに安く仕上げたい。

 

作りやすく作る

 個人的には、SMDを手はんだとか楽しいのですが、さすがにツライ。作成時にガチガチなスキルが必要ないように、使いやすい部品を使う。

 

部品の調達に困らないものを作る

 作りやすくと似たような観点ですが、調達が簡単な部品で作ろうかと思います。通販で手に入るものがほとんどなのですが、色んな所から入手したりと大変。基本的にはAmazonと、秋月で入手できる部品のみで作成したい。

 

そこそここだわる

 実は、低温調理喜の自作自体は難しくないのです。サーモスタットと水槽用のヒータ(または投げ込み式湯沸かし器)を使えば簡単にできてしまいます。が、良くてヒステリシス制御なので、面白くない。せめて比例制御ぐらいは付けたい。

 

スケジュール

 構想がクリスマスからなので、今コレを書いている時点である程度の実装まで完了しています。

 春節のお休みが終わるタイミングで基板を発注する予定。