低温調理用のコントローラを作る2
概要
今回は低温調理器を作るにあたって、主要な部品の選定について話します。
ちなみに
コントローラなんて作らなくてもいいよ、ただ使いたいんだよ!って方は、既製品を購入してもらったほうが早いです。ものによってはヒータ以外セットになってますし、それなりに安いです。
必要なもの
低温調理器は、制御の入門書などでよく見る、水槽の温度制御そのものです。制御対象は水温なので、制御対象の状態を知るために温度計が必要です。水温の操作は、上げるためにヒーターが必要です。下げるためにはクーラーが必要ですが、目標値は室温よりも高いため、クーラは必要ないでしょう。あとはヒーターのON/OFFを行うリレーと、制御用のCPUを選定します。
温度計
熱電対やアナログ出力の温度センサは、基準電圧の生成・管理が面倒なので、デジタル出力の温度センサを使うことにします。さらに、水につけるため防水加工が必要です。
デジタル出力のセンサにはいくつか候補がありますが、パッケージ化+防水加工されているものがAmazonで売られているので、DS18B20というセンサをつかいます。複数のところから同じような製品が出ているので、DS18B20を使ったものであればどれでもいいと思います。秋月電子で、センサ単体が250円ということを考えると、自分で単品を買ってきて防水加工する必要はないでしょう。約300円也。
ヒーター
試算したところ、温度の維持だけであれば100Wもあれば十分な感じです。やはり防水でなければならないので、まずは調理用の湯沸かし器を探しました。
Amazonで見つけた投げ込み式の湯沸かし器ですが、ワット数が高すぎるのと、熱源剥き出し、更に電源が海外仕様なので、ちょっと怪しい感じ。
他に良さそうなものがないので、代替案とりあえず水槽用のヒーターを使います。サーモスタット必要なタイプのヒーターを選んでください。オートヒーターではだめです。熱源が露出していないヒーターを使うことにします。約1,900也。
当然本来の用途と違う上、これを使う以上はAC100Vを扱うことになるので、取扱時にはそれなりに注意が必要です。場合によっては、他の加熱方法を考えます。
リレー
ヒステリシス制御であればリレーで良いですが、PID制御の実装を考えているので、PWM制御のしやすいSSRを使います。 Amazonに完成済みのモジュールが安く売られていますが、レビューに怪しいコメントがあるのを見つけてしまったので、中が見えて安心なものを使います、今回は秋月のキットを使います。250円也。
ソリッド・ステート・リレー(SSR)キット 25A(20A)タイプ
放熱をしなくても2A程度まで使用できるので100Wのヒーターなら十分でしょう。
制御用のCPU
ArduinoやmbedやRaspberry pi等のプラットフォームをつかうと実装が楽なのですが、そこそこのお値段がするので、水没・水ぬれする危険がある制御に使うのは気が引けます。なのでマイコンをそのまま使います。
入手しやすいのはPICとAVRですが、ライターの調達難易度からAVRを使います。PWMが使えて、そこそこGPIO数がある品を選びます。250円也。
制御プログラムを書いてみて、十分か判断しますがよっぽど大丈夫でしょう。
その他
調理するたびにPCなんて出したくないので、制御基板一枚で低温調理が完結してほしい。そのため、UIとして、以下の部品を使います。
- キャラクタLCD(I2C接続のもの)約500円
- ロータリーエンコーダ 80円
- タクトスイッチ 10円×2
- LED 3つ
これらと、抵抗などの必要な部品は手元にあったものを使います。諸々の部品含めると、コントローラだけで2000円ぐらいで仕上がるかと思います。
次回は、基板の設計と検証までをまとめます。