1000円で始める低温調理2
ローストビーフを作る
前回の記事で、必要な道具と材料がすべて揃ったので、さっそくローストビーフを作ってみましょう。
低温調理では失敗とはほぼ無縁です。肩の力を抜いてやりましょう。
理論は二の次です。
下ごしらえ
牛肉ブロックに下味を付けます。
塩とこしょうをひとつまみ程度、牛肉に擦り込みます。
塩が多すぎるとしょっぱくて取り返しがつかないので、迷ったら少なめを心がけます。
塩を振ると水分が出てくるので、キッチンペーパーとラップで包んで、冷蔵庫で30分程度置きましょう。
お湯を用意する
冷蔵庫で肉を寝かせている間、加熱用容器に65℃のお湯を用意します。
温度計で計りながら水を足しましょう。
このあとも下準備のつづきがありますので、ぬるくなることを考えて少し熱めにしておきます。
なるべく多めのお湯を用意するのがコツです。
パッキング
お湯の用意ができたら、冷蔵庫で寝かしておいた牛肉ブロックを取り出し、
キッチンペーパーとラップを外してジッパー付き保存袋に入れ、できるだけ空気を抜いて、しっかり封をします。
加熱・温度管理
パッキングした肉を加熱していきます。低温調理の肝となる工程です。
パッキングした肉を65℃に加熱したお湯に入れます。
このあとしばらくの間、水温を60℃以上65℃以下にキープします。
加熱の時間は食材の大きさ、厚さによって違いますが、500gのブロックで4時間が目安です。
ここでは特に温度に注意してください。60℃以上65℃以下をキープするのが重要です。
温度を上げすぎると、火が通り過ぎてローストビーフではなくなってしまい、逆に温度が下がってしまうと、食材が傷んでしまいます。
水温が下がってきたら、鍋や電気ケトルなどで熱湯を作り、たし湯をしながら温度をキープします。
たし湯ばかりだといつか溢れてしまうので、多い分は汲み取って溢れないようにしましょう。
汲み取ったお湯をそのまま沸かすと、若干ですが光熱費の節約になります。
温度の管理は多少面倒に感じるかと思いますが、機器のコストを抑えているため、仕方ないと思って割り切ってください。
思ったよりも、お湯は冷めにくいのでそれほど手間はかかりません。
焼き目付け
フライパンで焼き目を付けます。
ここまでの工程では、「焼いて」いないので当然焼き目が付くことはありませんでした。
ここで焼き目を付けることで香ばしさが追加されて、より美味しくなります。
フライパンを使って、中火から強火で一気に表面に焼き目を付けます。
火の通り過ぎは心配しなくてOKです。分厚い肉ですから中まで火が通る前に十分な焼き目がつきます。
焼き目を付けたら、ラップやアルミホイルで包んで10分ほど寝かせます。
寝かせることで、予熱で中心まで熱が伝わって温かくなります。
切り分け
寝かしたら、包丁で薄くスライスします。
肝心の火加減はどうでしょうか。桜色の断面になっているでしょうか?
ローストビーフは、切った直後はぼんやりとした桜色ですが、少し時間がたって空気に触れると、鮮やかな色に変化します。
食べる
ローストビーフがたくさんできました。(実際にはローストしていないのですが)
好きな味付けでお召し上がりください。
しっとり柔らかな食感と、肉の旨味を堪能できると思います。丼にするのもよし、サンドイッチにするのもよしです。
まとめ
このように、1000円の初期投資で低温調理を楽しむことができます。
この方法では、機器を買うお金の代わりに時間を使っています。多少手間がかかることは仕方ないです。
ひと月に一度くらいの調理頻度であれば、このくらいの手間がかかっても、十分我慢できるのではないでしょうか。
「肉はうまいが、耐えられん!/面倒だ!」という人は、低温調理器を買ったほうが良いです。
次回は、低温調理とはなにかを解説したいと思います。
1000円で始める低温調理1
はじめに
最近、低温調理という調理方法をよく耳にします。
低温調理とは、加熱温度と時間を管理して、従来の調理より低温で行う調理のことです。
定温調理とか適温調理とか恒温調理とも呼ばれています。
低温調理の特徴
この調理方法の特徴は、特に肉料理に威力を発揮する点です。
ローストビーフや角煮などの肉メインのレシピが、Web上で多く紹介されています。
仕上りのやわらかさや放置しておける手軽さもあり、低温調理のレシピは日常の料理レパートリーに追加しておきたいものです。
問題
低温調理の一番のネックは、導入コストにあると思います。
低温調理は専用の機器を使って調理をするのですが、この機器が割高です。
手軽にできるように炊飯器の保温機能を使った簡易なレシピが紹介されていたりしますが、仕上がりは本格的な低温調理には及びません。
失敗も多く、火加減は微妙な仕上がりになることもあります。
やってみたい
低温調理はあくまで調理方法なので、専用の機材がなくても代替の方法によって再現が可能です。
魅力的な低温調理にチャレンジしてもらうため、安価に(具体的には1000円以内)で実現しましょう。専用の機器はつかいません。
今後、何回かに分けて1000円ではじめる低温調理を解説していきます。
とりあえずやってみましょう。
準備するもの
1000円の予算で以下のものを準備します。
私が使っている機材も紹介しておきます。
- 温度計
- 発泡スチロール製クーラーボックス
- ファスナー付き保存袋
温度計
低温調理では加熱の温度を管理するため、水温を計るための温度計が必要です。
どんなものでもいいですが、私はタニタのスティック温度計を使っています。
発泡スチロール製クーラーボックス
低温調理では素材に直接火を当てず、お湯を介して加熱します。
お湯の温度を数時間維持する必要があるので、断熱性があり、お湯が冷めにくいような容器が良いです。
入手がかんたんだったので、ダイソーの発泡スチロール製クーラーボックスを準備しました。150円です。
ファスナー付き保存袋
ジップロックのようなジッパー付き保存袋を用意します。
サイズは大きめでジッパーが二重になっているのがおすすめです。
そのほか
食材などを適宜用意しましょう。
今回はローストビーフを例にしますので、牛肉を用意します。
その他、調味料などを準備しましょう。
今回はここまで
次回は、実際の調理手順について説明していきます。
低温調理用のコントローラを作る5
概要
調理コントローラのプログラムの雑な設計と実装を紹介します。
設計
低温調理に求められるのは、温度管理と時間管理です。この内時間管理については、プログラムでやる必要が無いかなと思います。調理終了時には、加熱槽からパックを取り出さなければならないのですが、これに関してはコントローラは何もできません。せいぜいアラーム音をならすぐらいでしょう。
ここでは割り切って、温度管理のみを行うコントローラを実装します。
制御方法
制御方法は、いろいろなものがありますが今回は簡単なヒステリシス制御と、熱容量による制御の二種類を実装します。
ヒステリシス制御
ヒステリシス制御は簡単な制御で、ヒータがONになる温度とOFFになる温度を設定し、現在の温度によってヒータのON-OFFを切り替えます。
閾値が1つのときとくらべてノイズに強く、制御対象の詳細がわからなくてもある程度の制御ができますが、オーバーシュート(加熱しすぎ)が発生するという弱点もあります。
今回使用している熱源は、150Wのヒータなのでオーバーシュートはそれほど気にしなくてもいいでしょう。これを一つ目の制御方法として採用します。
熱容量による制御
今回の制御対象は水温です。一般に、物質の温度とエネルギーの関係は、以下の式で求めることができます。
熱量Q[J] = 熱容量C[J/K] * 温度差⊿T[K]
そして、ヒータが発生する熱量は以下の式で求めることができます。
熱量Q[J] = 電力P[W] * 時間t[sec]
さらに、ヒータの電力と熱容量は調理中に変わることはありません。つまり、有る時間加熱したときの温度変化は以下の式で求めることができます。
温度差⊿T[K] = 係数 * 時間t[sec]
ここで係数は水の量や食材によって、調理毎に異なるため以下の2ステップをおこなえば水温が制御できます。
- 一定の時間加熱し、その間の上昇温度によって係数を算出する。
- 目標値と現在値の差(と係数)から、必要な加熱時間を算出する。
このうち2を、一定時間ごとに行うことにより目標の温度にすることができます。時間は水晶発振子によって取得できるので、簡単に実現できそうです。これを二つ目の制御方法として実装します。
PID制御
これも実装したいのですが、今回は見送り。(上の2つで調理ができてしまったので)
実装
実装は特に書くこともありません。Cでサクサク書くだけです。
機能紹介・操作
というわけで、完成したコントローラの紹介です。基本操作はエンコーダで選択、Aで決定、Bでキャンセルです。
電源を入れるとメインメニューが表示され、以下の4メニューがでます。それぞれを選んでAで決定します。
- Temp Monitor
- Heat Control
- Hysteretic
- Settings
モード紹介
Temp Monitor
温度計です。温度センサーの現在値を表示します。
Bでメインメニューに戻ります。
Heat Control
熱容量による制御をします。目標値を設定すると、係数の計算後、目標温度になるまで加熱を行います。目標温度に到達したら、以降その温度を維持します。
Bでメインメニューに戻ります。
Hysteretic
ヒステリシス制御をします。ヒーターをONにする温度(lower)とヒーターをOFFにする温度(upper)を指定すると、温度に応じてヒーターのON-OFFをおこないます。
Bでメインメニューに戻ります。
Settings
各種設定を行います。
今はパイロットランプ(ヒータON時と、センサー読み取り時のインジケーター)の有効無効のみが設定できます。
(そのうちPIDのパラメータとかを設定できるようになるはず)
HEX
ここに置きます。
ThermostaticCooker - Google ドライブ
書き込みはISPMK2をつかっている場合は以下のコマンドで
avrdude.exe -pm328p -cavrispmkII -Pusb -u -Uflash:w:cooker_v010.hex:a -Ulfuse:w:0xd2:m
低温調理用のコントローラを作る4
概要
完成した基板に部品を実装して、低温調理用のコントローラを作成します。
コントローラを組み立てる
基板が届きました
基板が届きました。発注から到着まではわりと早かったです。これに部品を実装してコントローラを完成させます。
使用する部品の調達
使用するパーツは、設計時にすでに選定しています。以下のパーツを使います。いろいろ忙しかったこともあり、秋月電子の通信販売で部品の調達を行いました。別に秋月じゃなくてもいいですが、私は秋月大好きマンなので贔屓にしています。
部品番号 | 数量 | 部品名 | 通販コード |
---|---|---|---|
IC | 1 | ATMEGA328P-PU | I-03142 |
Q1 | 1 | 水晶発振子 32.768KHz | P-04005 |
LCD | 1 | LCDモジュールAQM1602A-RN-GBW | P-08779 |
J1 | 1 | 2.1mm標準CDジャック 基板取付用 | C-00077 |
X_TEMP1 | 1 | ターミナルブロック 3ピン | P-01307 |
X_HEATER | 1 | ターミナルブロック 2ピン | P-01306 |
S1,S2 | 2 | タクトスイッチ | P-03647 |
ENC | 1 | ロータリーエンコーダ | P-06357 |
LED1~3 | 3 | 5mm LED | |
R1,R3,R7 | 3 | 470Ω カーボン抵抗 1/6W | |
R2,R4~6 | 4 | 10KΩ カーボン抵抗 1/6W | |
R8~11 | 4 | 100Ω カーボン抵抗 1/6W | |
C1~3 | 3 | 1μF 積層セラミックコンデンサ | |
C4~8 | 5 | 0.1μF 積層セラミックコンデンサ | |
JP | 1 | 2×2ピン 2.54mmピッチ ピンヘッダ | |
- | 2 | ジャンパピン 2.54mmピッチ | |
CON1 | 1 | 2×3ピン 2.54mmピッチ ピンヘッダ | |
CON2 | 1 | 1×6ピン 2.54mmピッチ ピンヘッダ |
はんだ付け
特段いうことも無いです。背が低くて、熱に強い部品から実装していきます。一号機は色々する予定なので、AVRは直接はんだ付けせずにICソケットを噛ませます。LCDと水晶発振子は、はんだだけだと固定強度に不安があるので、別途ホットボンドで固定しました。
はんだ付けがおわるとこんな感じ。温度センサも接続しています。
はんだ付けの確認
検図済みですし、特に検証はしなくていいでしょう。はんだ付けが失敗していないかだけ確認します。
動作確認
ジャンパの設定
ACアダプタの極性がどちらでもいいようにジャンパを設けました。センタープラスのアダプタを使うときは1-2、3-4と接続します。
温度センサの接続
Amazonで買った温度センサを接続します。左のコネクタにそれぞれ接続します。大体黒がGND、赤がVCCです。
プログラムの書き込み
ここまできたら、プログラムを書き込みます。CON1にAVRライタを接続してPCからプログラムを焼きます。
これでコントローラの完成です。
プログラムの実装と中身については別途紹介します。
低温調理用のコントローラを作る3
概要
低温調理用のコントローラ回路・基板を設計して、発注します。
設計
まずは回路を設計します。私は回路設計にeagleを使用しています。ちょこっとした基板ならFree版で十分ですし、色々なサイトで使用例が出ているので、困ったときには調べられるので、おすすめです。
ライブラリの準備
まずは基本的な部品はライブラリに登録されていますが、今回使う部品でないものだけを追加します。今回は、LCDがなかったので実物と添付資料をもとにライブラリを作成します。
回路図の作成
ATMEGA328を中心に、周辺の回路を書き込みます。今回は下記の機能を使います。
- INT0割り込み(ロータリーエンコーダ)
- PCINT割り込み(タクトスイッチ)
- Timer1 PWM出力(ヒーター制御)
- Timer2 非同期タイマ(RTC)
- ISP
- I2C(LCD制御)
- USART(デバッグ用)
I2Cなどの機能ポートは使用するピンを変更できないので、機能ピンを優先して配置して、その他の配線をしていきます。真面目に線を引くと、ごちゃごちゃしてわからなくなってしまうので、配線に名前をつけたり、ラベルを振ったりして読みやすい回路図にします。
回路の確認
回路が出来上がったら、ブレットボードで動作確認をします。これ以降の工程では、ミスを検出しづらいので、ここで確実につぶしておくことが重要です。
基板のレイアウト
レイアウト・配線
回路図が出来上がったら、ボードエディタに切り替えて、基板の上に部品を配置していきます。
レイアウトの確認
ある程度レイアウトと配線が完了したら、高さのある部品やコネクタなどが干渉しないかを確認します。
おすすめはプリントアウトして実際の部品をはめ込む方法。、画面で確認するより早いですし、バランスを確認しやすいです。
発注
Elecrowへ発注しよう
最近は、基板の発注がかなり安い。今回はElecrowのPCBサービスを使います。送料は別ですが、5×5cm10枚で9.5ドルです。品質や納期の評判もそこそこ良いです。
日本語に対応しているようですが、翻訳が少し怪しいです。ショップには、その他電子工作関連のパーツなどがいっぱいあるので、PCBサービス以外にも、目を通すと欲しいものが見つかるかもしれません。100ドル以上買うと送料無料になるようですが、PCBサービスについては送料無料の恩恵が受けられないみたいです。
デザインルールの確認
まずは、レイアウトした基板がElecrowで製造できるルールにしたがっているかを確認します。Elecrowの商品詳細画面から、デザインルールファイルを取得できます。
パッドにシルクがかぶっているとStop Maskの警告がたくさん出ますが、これは無視しても問題なさそうです。
ガーバーファイルの生成
同じくElecrowの商品詳細画面から、今度はCAM Fileを取得してきます。取得したCAM Fileを使って、ガーバーデータを生成します。
下記の8ファイルが必要なので、これをzipで固めておきます。
Top layer:pcbname.GTL
Bottom layer:pcbname.GBL
Solder Stop Mask top:pcbname.GTS
Solder Stop Mask Bottom:pcbname.GBS
Silk Top:pcbname.GTO
Silk Bottom:pcbname.GBO
NC Drill:pcbname.TXT
Mechanical layer :pcbname.GML
発注
…と思ったら、春節のお休みなので、休みが明け次第発注します。
低温調理用のコントローラを作る2
概要
今回は低温調理器を作るにあたって、主要な部品の選定について話します。
ちなみに
コントローラなんて作らなくてもいいよ、ただ使いたいんだよ!って方は、既製品を購入してもらったほうが早いです。ものによってはヒータ以外セットになってますし、それなりに安いです。
必要なもの
低温調理器は、制御の入門書などでよく見る、水槽の温度制御そのものです。制御対象は水温なので、制御対象の状態を知るために温度計が必要です。水温の操作は、上げるためにヒーターが必要です。下げるためにはクーラーが必要ですが、目標値は室温よりも高いため、クーラは必要ないでしょう。あとはヒーターのON/OFFを行うリレーと、制御用のCPUを選定します。
温度計
熱電対やアナログ出力の温度センサは、基準電圧の生成・管理が面倒なので、デジタル出力の温度センサを使うことにします。さらに、水につけるため防水加工が必要です。
デジタル出力のセンサにはいくつか候補がありますが、パッケージ化+防水加工されているものがAmazonで売られているので、DS18B20というセンサをつかいます。複数のところから同じような製品が出ているので、DS18B20を使ったものであればどれでもいいと思います。秋月電子で、センサ単体が250円ということを考えると、自分で単品を買ってきて防水加工する必要はないでしょう。約300円也。
ヒーター
試算したところ、温度の維持だけであれば100Wもあれば十分な感じです。やはり防水でなければならないので、まずは調理用の湯沸かし器を探しました。
Amazonで見つけた投げ込み式の湯沸かし器ですが、ワット数が高すぎるのと、熱源剥き出し、更に電源が海外仕様なので、ちょっと怪しい感じ。
他に良さそうなものがないので、代替案とりあえず水槽用のヒーターを使います。サーモスタット必要なタイプのヒーターを選んでください。オートヒーターではだめです。熱源が露出していないヒーターを使うことにします。約1,900也。
当然本来の用途と違う上、これを使う以上はAC100Vを扱うことになるので、取扱時にはそれなりに注意が必要です。場合によっては、他の加熱方法を考えます。
リレー
ヒステリシス制御であればリレーで良いですが、PID制御の実装を考えているので、PWM制御のしやすいSSRを使います。 Amazonに完成済みのモジュールが安く売られていますが、レビューに怪しいコメントがあるのを見つけてしまったので、中が見えて安心なものを使います、今回は秋月のキットを使います。250円也。
ソリッド・ステート・リレー(SSR)キット 25A(20A)タイプ
放熱をしなくても2A程度まで使用できるので100Wのヒーターなら十分でしょう。
制御用のCPU
ArduinoやmbedやRaspberry pi等のプラットフォームをつかうと実装が楽なのですが、そこそこのお値段がするので、水没・水ぬれする危険がある制御に使うのは気が引けます。なのでマイコンをそのまま使います。
入手しやすいのはPICとAVRですが、ライターの調達難易度からAVRを使います。PWMが使えて、そこそこGPIO数がある品を選びます。250円也。
制御プログラムを書いてみて、十分か判断しますがよっぽど大丈夫でしょう。
その他
調理するたびにPCなんて出したくないので、制御基板一枚で低温調理が完結してほしい。そのため、UIとして、以下の部品を使います。
- キャラクタLCD(I2C接続のもの)約500円
- ロータリーエンコーダ 80円
- タクトスイッチ 10円×2
- LED 3つ
これらと、抵抗などの必要な部品は手元にあったものを使います。諸々の部品含めると、コントローラだけで2000円ぐらいで仕上がるかと思います。
次回は、基板の設計と検証までをまとめます。
流行りの低温調理用のコントローラを作る1
概要
低温調理器が高かったので、そこそこ良いコントローラを自作します。
低温調理とは
要は従来よりも低い温度でする調理のことです。わたしは低温調理というとあまりピンときません。真空調理法とか適温調理とか、恒温調理とか言ったほうが実態に合っている気がします。こんなの↓が安定して作れます。
肉!
なければ作る
低温調理法自体は前々から知ってはいましたが、Twitterやマンガなど、随所で聞くようになったので、じゃあやってみようと。
で、クリスマスに先に挙げた定番のローストビーフを作ったのですが、まあめんどくさい。
それ専用の製品(Anovaとか)を使えばいいのですが、それなりにお値段が張るので、ならば自分で作ってしまおうというだけの話。
作戦
最近は、プリント基板が2000円ちょっとで作れますので、専用の基板を起こします。プリント基板を作ると10枚とか20枚の単位でのオーダになるので、せっかくなら他の人に使ってもらいたい。そこで、調理器を以下のような感じで作ろうと思います。
なるべく安く
高いのが正義ではないです。最安である必要はないけど、それなりに安く仕上げたい。
作りやすく作る
個人的には、SMDを手はんだとか楽しいのですが、さすがにツライ。作成時にガチガチなスキルが必要ないように、使いやすい部品を使う。
部品の調達に困らないものを作る
作りやすくと似たような観点ですが、調達が簡単な部品で作ろうかと思います。通販で手に入るものがほとんどなのですが、色んな所から入手したりと大変。基本的にはAmazonと、秋月で入手できる部品のみで作成したい。
そこそここだわる
実は、低温調理喜の自作自体は難しくないのです。サーモスタットと水槽用のヒータ(または投げ込み式湯沸かし器)を使えば簡単にできてしまいます。が、良くてヒステリシス制御なので、面白くない。せめて比例制御ぐらいは付けたい。
スケジュール
構想がクリスマスからなので、今コレを書いている時点である程度の実装まで完了しています。
春節のお休みが終わるタイミングで基板を発注する予定。